2021/7/29開催「RIとSPを徹底解説!AWSコスト最適化ウェビナー」でいただいたご質問とその回答をまとめました
コンバンハ、千葉(幸)です。
本日行われた以下セミナーにおいて、「RIとSPって何が違うの?選択において押さえておくべきポイント」という内容で登壇を行いました。
付随していただいた質問がございますので、回答と合わせてまとめてご紹介いたします。
なお、本エントリにおける RI と SP はそれぞれ以下を表します。
- リザーブドインスタンス
- Savings Plans
発表内容について補足
当日発表に使用した資料はセミナーに参加いただいた皆さまのみへのご提供を原則としておりますので、ここでの提示は控えさせていただきます。(リクエストがあれば後日の公開を検討いたします。)
2021/10/18 以下にて資料を公開しました。あわせてご参照ください。
とは言え後続の質問の前提となる部分がありますので、一部をかいつまんでご紹介します。
RI/SP はチケットのようなものである
RI や SP は一定期間の利用をコミットすることで割引の権利が得られる仕組みですが、発表ではそれをチケットに例えてご紹介しました。
SP の検討を優先することを推奨
「チケット」を正しく適用するためには対象が条件に合致していることが必要です。 SP は RI と比較して条件が緩い(柔軟性が高い)ですので、優先して検討するべきとご紹介しました。
かと言って SP が唯一解ではありませんので、 RI を選択することが適しているユースケースもあります。
RI と SP の比較
各タイプごとに比較表を用いて差異をご紹介しました。最終的にすべてを合算した表が以下です。(ここでは小さく見づらいと思いますが、敢えてです、、)
今回は EC2 に適用するケースを想定し、以下の 6 種類について比較を行いました。
- SP
- EC2 Instanse SP
- Compute SP
- RI
- リージョナル RI スタンダード
- リージョナル RI コンバーティブル
- ゾーン RI スタンダード
- ゾーン RI コンバーティブル
クラスメソッド による RI/SP の購入代行
弊社提供の クラスメソッドメンバーズ のプレミアムサービスにご加入いただいている場合、弊社による RI/SP の購入代行サービスをご提供しています。
購入代行の申請をいただくことで対象 AWS アカウントのインスタンス一覧(インスタンスタイプの情報含む)を弊社からご提供し、そこからご希望の購入方法を指定することができる、という流れをご説明しました。
特に SP における「事前のコミット金額の換算の手間」「購入後の内訳の分かりづらさ」の軽減に役立つかと考えています。
リザーブドインスタンス (RI) に関するご質問
以降、質問とその回答を記載します。
ゾーンRIはキャパシティ予約以外にメリットありますでしょうか
「あくまでわたしの考えにおいては」という注釈がつきますが、キャパシティ予約以外のメリットはありません。ゾーン RI と対となるリージョナル RI と比較すると、以下の点で劣後します。
- アベイラビリティゾーンの柔軟性がない
- インスタンスサイズの柔軟性がない
- 購入のキューイング(予約購入)ができない
キャパシティ予約は別途 ODCR(オンデマンドキャパシティ予約)と組み合わせることで他のタイプでも実現できますので、以下のようなケースでのみゾーン RI を検討することをお勧めします。
- インスタンスサイズも含め構成の変更の可能性が低い(サーバ構成が決め打ちである)
- RI/SP と ODCR をそれぞれ管理するのが手間であるため一本化したい
Savings Plans (SP) に関するご質問
SPを購入する際のコミット額はどのように計算すればよろしいのでしょうか?
下記ページでSavings Plans を利用した際の料金が確認いただけます。
以下のように購入条件を指定できますので、対象のインスタンスタイプの割引後の金額を条件を切り替えて確認できます。
Savings Plans による割引を受けたいご利用中のインスタンスについて適用後の料金をご確認いただき、その分をコミットいただくのが良いと思います。
柔軟性の点でSPの方が有利とのことでしたが、24時間稼働、インスタンスタイプを変更しない場合でもSPの方がお勧めなのでしょうか?
使い方が確定しているのであれば、柔軟性の違いによる差異は限りなく低くなります。RIで購入した方が、コミット額への換算が不要であり、購入後の内訳の確認も容易となるため、メリットが出ることもあります。
一方で、オンデマンド価格の改定への追従は SPにメリットが出ます。また、RI 購入時には想定していなかった構成変更(インスタンスタイプ変更、稼働時間の縮小など)が発生した場合に、SP の柔軟性の高さがメリットになる可能性が高いです。
2021/11/28修正 オンデマンド価格への改定の追従について取り消しました。
RI と SP を比較してオンデマンド価格改定への追従に差はありません。(むしろコンバーティブル RI で交換ができる分 RI にメリットが出ます。)詳細は以下を参照してください。
SPのコミット金額がどれくらい適正であるかを導入後、どこかで確認できますか?
マネジメントコンソールの Cost Explorer から、使用状況レポート、カバレッジレポートの形式でご確認いただけます。以下ブログをご参考ください。
(なお、クラスメソッドメンバーズにご参加いただいている AWS アカウントの場合、割引サービスの仕様上、この画面での表示が正しいものになりません。別途専用の Web ポータルをご用意しておりますので、そちらで月ごとに適用状況をご確認いただけます。)
SP のコミット額はEC2、1台づつの割引後の1時間分の額を積み上げて、その合計を買う際に指定する感じでしょうか
基本的な購入の仕方としてはそのイメージとなります。RI と SP の購入の仕方を比較したのが以下となり、 SP では事前に金額の換算が必要となります。
すべてを一回の購入に向けて合算する必要はなく、想定するリソース群ごとに購入を分けることもできます。(例えば M5 のインスタンス群を想定した SP、R5 のインスタンス群を想定した SP などと分割 。)管理しやすい方式を選択いただければと思います。
弊社ではSPをいくつかに分けて、3カ月や4カ月ごとにで利用状況の変動を勘案してコミットしているのですが、御社顧客でもこのような利用方法をしている顧客はいますでしょうか?
はい、いらっしゃいます。一方で、ある程度まとまった量を一括で購入しておしまい、というお客様もいらっしゃいます。無駄なく、より効率よく SP が適用されるのがベストですが、適用状況を細かく確認したり検討したりすること自体にも間接的なコストは発生するかと考えます。
どこを重視するかは様々かと思いますので、環境に応じて適切な購入パターンを検討いただければと思います。
クラスメソッドによる RI/SP の代理購入に関するご質問
プレミアムサービスに加入している場合は、購入確認資料は無料でいただけるのでしょうか
はい、ご認識通り無料でご提供しています。購入代行の申請をいただいたのち、数営業日後に一覧資料をご送付いたします。
御社のRIやSP購入代行を利用する場合と、直接SPやRIを購入する場合だと御社を利用するほうがお得になるのでしょうか?
すでにクラスメソッドメンバーズ プレミアムサービスをご利用いただいている場合、金額面での差異はありません。購入代行をご利用いただくことで先述の「購入確認資料」をご用意できますので、管理面でメリットが出ることはあるかと考えます。(一方で、やりとりを挟む分、購入完了まで一定期間かかります。)
なお、現在クラスメソッドメンバーズをご利用いただいていない場合、請求代行サービスをご利用いただくことで、利用料が 5 % 引きとなります。ここには RI/SP の料金も含まれますのでご活用ください。(購入代行が可能なプレミアムサービスのご利用には別途料金が発生します。)
終わりに
セミナーでいただいた質問とその回答をまとめました。セミナーの最中にも一部をテキスト、一部を口頭で回答いたしましたが、駆け足になる部分もありましたので改めてご参照いただければと思います。
SP を優先して検討すべきというお話をしたこともあり、特に SP についての質問を多くいただきました。繰り返しになりますが、柔軟性の高さは大きな選定のポイントとなります。軸として SP を考えつつ、 RI との差異を正しく理解し、適切なコスト削減を行ってください。本日の発表がその手助けとなれば、夜なべして作った 120 枚の発表資料も報われます。よろしくお願いします。
以上、 チバユキ (@batchicchi) がお送りしました。